茨城県牛久市の弁護士小室光子の記録です
確か2年前のお正月くらいに読み始めた小説を
久しぶりに開いてみた。(いつ読み終わるんだか…)
主人公の刑事裁判が始まるくだりにさしかかった。

裁判官が、被告人に黙秘権の告知をした後に、
「法廷で嘘をつくと偽証罪に問われることがあります。」と。

…いやいや、それはないから。
偽証罪は、「法律により宣誓した証人」が虚偽の供述をしたときに
成立する犯罪(刑法169条)。

裁判を注意深く傍聴しないと気がつかないかもしれないけど、
そもそも被告人は「証人」じゃないし,「宣誓」もしない。
「良心に従い真実を述べ~」という「宣誓」をするのは、「証人」だけ。

だから、あえてざっくり言うと、被告人は、自分が犯した罪について
嘘を言っても「偽証罪」には問われない。
なぜなのか。
ということを突き詰めると、法律以前の話になるから書かないけど。

けど少なくとも、だからって被告人が嘘を言ってもいいと私は思わないし、
弁護人の立場で、嘘だと知った上で弁護することはできないし、しない。
(言いたくないことは言わなくていい。それは被告人の権利。
黙っていることと、積極的に嘘を言うことは、明らかに違う。)
究極的には、そういうことになれば解任してもらうしかない。
(幸いにして、今のところそういう経験はないです。)

なんてことを書いたきっかけになった小説は、
なんかもう、その先を読む気がしなくなってしまった。
職業柄たまたま知っているに過ぎないことだけどね、
「そんなわけないでしょ」って描写に気づくと(テレビドラマや映画もそうだけど)
一気に醒めてしまう。

文学作品的なものに、リアリティーを求めることが無意味だということは
もともと文学部演劇科出身の私はよくわかっているつもりで、
そういう意味では、弁護士という職業に就いて、何かひとつ楽しみを失ったのかも、
などと思ったりもする。
この小説を買ったのも、刑事事件の話だったからではない。
単行本の帯に書かれていた、主人公の生い立ちに興味を持ったからだったのに。
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